立会い出産でよくあるトラブルと対策
立会い出産は、夫婦にとってかけがえのない感動的な体験となりますが、事前の準備や心構えがないと、かえってトラブルや後悔につながることもあります。
ここでは、立会い出産でよくあるトラブルとその対策、そして夫(パートナー)の重要な役割について解説します。
立会い出産でよくあるトラブルと対策
立会い出産におけるトラブルは、主に「夫側の体調不良や言動」と「妻側の精神的な負担」に分けられます。
1. 夫側のトラブル:体調不良や冷静さを欠く言動
| よくあるトラブル | 対策(夫の心構えと行動) |
| 夫が貧血・失神する | 出産時には出血や羊水、独特の臭いなどがあります。血を見るのが苦手な人は、無理に下半身を見ようとせず、妻の頭側に立って、精神的なサポートに徹することを助産師さんに確認しましょう。 |
| 妻の壮絶な姿にショックを受ける | 陣痛時の叫びや暴言、極度の痛みに耐える姿に「女性として見られなくなった」と後悔するケースがあります。**「出産は命がけの壮絶なプロセスである」という知識を事前に持ち、「頑張っている姿」**として受け止める心構えが必要です。 |
| 場違いな言動で妻をイライラさせる | 陣痛中に「疲れた」「まだかな」「グロい」といったネガティブな発言をしたり、スマホを見たり、寝てしまったりする行為は、妻の怒りを買います。サポート役に徹し、常に妻の状態に寄り添うことが大切です。 |
| 何をしていいかわからずオロオロする | 知識がないと何もできず、妻に「頼りない」と失望されることがあります。事前に助産師や妻と役割分担を決め、呼吸法のサポート、テニスボールでの指圧、水分補給など、具体的なサポート方法を練習しておきましょう。 |
2. 妻側のトラブル:出産への集中を妨げられる
| よくあるトラブル | 対策(夫婦間のコミュニケーション) |
| 夫がいることで集中できない | 痛みがピークに達したとき、かえって夫の存在が**「気が散る」「意識しすぎて力を抜けない」原因になることがあります。「分娩直前は退席してほしい」「陣痛室だけいてほしい」**など、妻の希望を優先し、遠慮せずに具体的な要望を伝えましょう。 |
| 望まない姿を見せてしまったと後悔する | 予想外に乱れたり、冷静さを欠いた姿を見せてしまい、産後に「恥ずかしい」「女性として見られたくない」と感じる場合があります。事前に**「どんな姿になっても大丈夫」**と夫に伝え、夫からも「感謝とねぎらい」の言葉をもらう約束をしておくと安心です。 |
成功に導く!夫(パートナー)の重要な役割と心構え
立会い出産を感動的な思い出にするために、夫(パートナー)は「感動を共有する人」ではなく**「最高のサポーター」**としての役割を果たすことが重要です。
役割1:徹底した「精神的な支え」になる
立会い出産の最大のメリットは、妻の**「不安の軽減」**です。
励ましより「共感」と「ねぎらい」:「頑張れ」ではなく、「痛いね、大丈夫だよ」「こんなに大変なんだね、本当にありがとう」と、痛みに共感し、出産の後に心からの感謝を伝えましょう。
タッチング:手を握ったり、背中を優しくさすったりと、**肌に触れる(タッチング)**だけでも妻は安心感を得られます。
役割2:具体的な「陣痛緩和サポート」を提供する
陣痛が始まると、妻は自分で動くのも辛くなります。事前に練習した具体的なサポートを行います。
| サポート内容 | 効果とポイント |
| 腰・お尻のマッサージ/指圧 | 陣痛の痛みの緩和に最も効果的です。テニスボールや、硬めのグッズを用意し、妻が「ここを強く押してほしい」という箇所を持続的に、強い力で押してあげましょう。 |
| 水分・栄養補給の介助 | 長丁場になるため、体力消耗を防ぐ必要があります。ペットボトルにストローをつけて、寝たまま飲めるように手伝いましょう。妻の飲食物だけでなく、夫自身の水分・軽食も忘れずに準備します。 |
| 汗を拭く、呼吸をサポートする | 大量に汗をかくため、こまめに汗を拭き、うちわなどで扇いであげます。また、痛みのピークでは呼吸が乱れるため、助産師の指示に合わせて、一緒に呼吸のリズムを声に出してサポートしましょう。 |
役割3:事前の「知識と話し合い」を徹底する
トラブル回避の鍵は、夫婦間の認識のズレをなくすことです。
知識の習得:両親学級に参加するなどして、出産の流れ(陣痛の長さ、分娩時の処置、緊急時の対応など)を事前に把握しておきましょう。
バースプランの共有:**「何をどうサポートしてほしいか」「これだけはしないでほしいこと」**を具体的に妻から聞き出し、夫婦で合意した上で出産に臨みましょう。
体調管理:夫自身も長丁場になることを想定し、体調を万全に整えておきましょう。
立会い出産は、夫婦の絆を深め、親としての自覚を育む貴重な機会です。トラブルを恐れず、これらの準備と心構えをもって、新しい家族の誕生を迎えてください。